子宮と同じく、ベビーを迎えるにあたってなくてはならない器官、卵巣。生理のときでないと気にすることはないかもしれませんが、実は女性の5~10%もの方が、生涯のうち卵巣に関係する病気を発症するとも言われています。
卵巣は、子宮の左右にひとつずつあります。卵を横にしたような形で、大きさは親指程度。子宮と比べて小さ目です。そのはたらきは、原子卵胞から卵子を作り、保管しておくこと。また、女性ホルモンを分泌することも、大切なはたらきのひとつです。何か異常がおこっても、なかなか自覚症状があらわれにくく“沈黙の臓器”とも呼ばれているようです。
卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)
卵巣の病気の中で最も多くの方が発症する病気で、卵巣に腫瘍ができる病気ですが、その9割以上が良性のものであるとされ、重篤化することは少ないようです。簡単に言うと、卵巣内におできのようなものができ、その内容物によって嚢腫の種類が分けられます。子宮内膜症が卵巣内で発症した場合も、卵巣嚢腫とされます。嚢腫ができる初期段階ではやはり自覚症状はほとんどないようで、個人差はありますが、腹痛や出血で気づく方が多いようです。経過や患者さんの年齢によって、経過観察や手術などの治療が行われます。
実はこの卵巣嚢腫、筆者自身も罹患したことがあります。高校1年生のときに、微弱ながら何日も腹痛が続き、胃腸科でエコーをとったところ、卵巣が肥大化していることがわかり、婦人科での再検査となりました。よく病気のことを理解せず“腫瘍”と聞いたときには思春期ということもあって、とても大きなショックを受けました。7㎝以上の肥大化は手術による摘出というのは多いパターンだそうですが、わたしの場合は気づいたときには10㎝を超えており、発見から1ヶ月後に手術となりました。もう10年以上前のことですが、術後の経過も問題なく、幸いなことに安産で娘をもうけることができました。少し大げさかな?と思っても、違和感があれば迷わず検査してみてください。
卵巣がん
実は卵巣は女性の臓器の中で最も腫瘍ができやすい臓器だとも言われています。そのほとんどが卵巣嚢腫とされるのですが、まれに悪性の腫瘍となり、卵巣がんになることもあります。卵巣がんにもいくつか種類があり、中でも最も多いとされる表層上皮性の卵巣がんは、排卵の度に剥がれ落ちる卵巣内膜の修復に異常が起こることが、原因のひとつではないかといわれています。自覚症状はほとんどなく、腹痛や、痩せているのに下腹部が膨らんできたことなどで気づくことがあるようです。
卵巣がん検診は子宮がん検診ほど普及していないかもしれませんが、ベビーを迎えたいと考えるうえで、その機能の重要さは同等ですね。合わせて、婦人科で定期的に検診を受けておきたいですね。